I-HOUSE

●設計事例の所在地: 
川崎市
●面積(坪): 
128㎡
●建物の種類(大分類): 
住宅関連
●メインの画像: 
●メイン画像の説明文: 

敷地周辺は緑が多く、古くから開発された宅地で高低差に富んでいます。敷地形状は間口10.5m奥行き13.3mの南北に長い長方形です。決して広いといえないこの敷地の約2割が駐車スペースとなり、またアプローチも絶対条件です。さらに敷地境界線から壁面線1mセットバックの法的条件により、配置条件は自ずと決定づけられてきました。
光と風を取り込むツインキャンティ(2つの片持ち空間)
2階の子供室と主寝室は、それぞれ5m、4mのキャンティレバーの構造としています。従ってそれらの1階部分は十分な駐車スペース(風の通り道)として機能し、リビングは3方向をガラススクリーンで構成することができたのです。

建てる前に依頼者が悩んでいた事・ご希望: 

建築主は、身体的ハンディキャップを持たれています。現在は手摺などを頼りに自力歩行されていますが、将来的には車椅子が必要と予想されます。このような状況を踏まえて出された要望は、「車椅子を前面に押し出した設計ではなく、できるだけ歩いて移動する、積極的な生活のできる家にしてください」というものでした。
その応えとして、段差をまったくつけないことはもちろん、玄関以外はすべて引き戸とし、動線には手摺をつけました。左右の手摺に同時に掴まることができるように、各部寸法は際立って大きくすることは避け、メーターモジュールとし車椅子で移動可能な最低寸法としています。

依頼者があなたに依頼した決め手: 

楽しく住まいの話ができたことだと思います。

●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など): 

1階平面
 前面道路を動の空間とすると、居室には静の空間が求められます。「静」をつくるために、道路に面した駐車スペースと居室の間には中庭を設けました(緩衝体)。そして、駐車がしやすいこともハンディキャップを持つ建築主には大切なことです。
 これらの機能を、前面道路からヒエラルキーをつけるように、リニアに配しました。
2階平面
 中庭を中心としてコの字形に開いた居室を配置し、外に向かっての開口部は、光や風、あるいは空といった自然を感じられる空間となっています。
 外壁はフロストガラスによるダブルスキンを使用しています。それにより空気層が密閉され、断熱性能を通常の2倍近くまで向上しました。
駐車スペースから流れこむ風

 すべての居室は中庭に向かって開放されており、溢れる光を感じることができます。また駐車スペースからは心地よい風が流れ込み、光と風が快適さと幸福感を与えてくれます。
  自然との一体感を感じるために、床と天井には天然木の無垢シルバーパインを使い、蜜蝋ワックスを染みこませて仕上げました。また木の表面に膜をつくらないことで木が本来持っている調湿効果を発揮しますので、湿度の高い日でも爽快に過ごせます。もちろん、自然素材を使うことはシックハウスの配慮でもあります。
3方向のガラススクリーン
リビングの3方向をガラスにした構成は、リビングから中庭を眺めるというより、中庭の中で過ごしている感覚を作り出し、開放感を与えてくれます。
床冷暖房
各居室は2重床を採用し、その空間を利用して空気を流し、床冷暖房としています。部屋全体を冷やしたり温めたりする必要が無いため、効率も良く、何より身体にやさしい快適な冷暖房となっています。

依頼者の声: 

オーナーからいただいた生の声です。
「わが家は3人家族ですので、個室2室、私の書斎1室、年に数回泊まりに来る両親のための日本間1室が欲しいことと、足の悪い私が住みやすい家であることの条件のみで、全部お任せで設計をお願いしました。その結果、バリアフリー、手摺り、引き戸など足の悪い私にとても優しい隅々まで気配りがされた家になりました。また、家の内は自然の度材が使われ、冷暖房も直接風が当たらない床の下を通す「オンドル」様式になっており、とても心地よくゆっくす休める家になりました。とても感謝しています。」

その他の画像: 

駐車場から玄関を見ています。
アプローチはスロープと手摺りで安全に配慮しました。

コの字型に建物を配置して、中央に小さいながらも中庭を設けています。
リビングに面することで、一体的な繋がりのある空間にしています。

玄関ホール
右手はホームエレベーター
正面はLDKに繋がります。

玄関ホールから中庭を見ています。

LDK
3面ガラススクリーンで、外部への視線を通すことで一体的に感じられるように工夫しています。

リビング

ブラインドを下ろしたリビング

ダイニング
明るく柔らかい光に包まれた空間になっています。
テーブルは特注デザインで製作した物です。

ダイニング

書斎
カウンターや書棚すべて特注です。
パイン無垢材でオイル仕上げとして、素材の質感を大切にしています。

設計者

ユーザー 有限会社 長井義紀建築設計事務所 長井義紀 の写真
オフライン
Last seen: 7ヶ月 2時間 前
登録日: 2012-07-24 10:14